2018年 06月 04日
理想 |
私は石に対して特にスピリチュアルな考えはもっていません。
私にとって、どんなに美しい石も、自然の一部に過ぎません。
けれど、それらに付けられた意味は、花言葉のように、人の心に響いたり、作用したりするような気がします。
今回の『Luna』『泡〜HOU〜』の新作には、水晶を取り入れています。
使っているのは肉球。
要するに、脚の裏。
いのちの始まり。
それはまだ地に触れない。
いのちの終わり。
それは地から離れてゆく。
そのとき「生命」は、限りなく純粋で、限りなく透き通った色であるような気がするのです。
そしてひとたび手足と地が接触すると、そこから様々なものが流れ
込み、心は色を持つように思います。
生きていると、知らぬ間に心は道をそれてしまっていたりします。
どんなに染まりたくないと思っていても、染まることを避けられないことだってあります。
自分のほんとうがわからなくなったりします。
現実を泳ぐには、心のちからがたくさん、たくさん必要です。
心のちからが強い人は、泳ぎきることなんて容易いのかもしれません。
けれど、そのちからが弱い人にとっては、現実の波は荒すぎて、ともすると溺れ、沈んでしまいそうになります。
なります、と断言するように書いたのは、私自身、心のちからに乏しい人間だからです。
自分が始まったときの、まっさらで透き通った心に戻せたら。
けれど、この現実世界を生きる中で、それはとても難しい。
とてつもなく、難しいのです。
私にとって、私が作り出す彼らは、「理想」を込めた者たちなのだと思います。
彼らの体の地に着く部分を水晶にすることで、内に入り込んでくる矛盾の色を浄化し、常に彼らの全てがまっさらで、無垢で、透明であるように。
私は仏師ではないから神様をかたちにすることは出来ないけれど、せめて近くで見守るような「純潔」な存在の者たちを、そうありたいと願う誰かに届けられたなら、とおもうのです。
私の願いの中から生まれた者たちが、そんな誰かの心の一部にでも光を与えることが出来たなら、本望です。
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どうしたら込めた思いの全てをきちんとお伝えできるかと色々言葉を探してみましたが、なかなか難しい。
いつかもっと伝わる言葉を見つけ、簡潔で分かりやすくお話できたらとおもいます。
by aki-wolf-doll
| 2018-06-04 12:23
| 作品のこと